こんにちは。東京大学で博士を取得し、クレジットカードの使い方を研究しているクレカゼミナールのゼミ長です。
いざマイルを使ってハワイに行こうと予約画面を開いたとき、思いのほか高額な燃油サーチャージの請求に驚かれたことはないでしょうか。
この記事では、航空運賃の構造を分かりやすく分解し、マイルの客観的な価値と有効な活用方法について検証します。特典航空券のコスト構造が明確になることで、一生懸命貯めたマイルを不利な条件で使ってしまうリスクを減らすことが可能です。
燃油サーチャージ往復69,400円?! JALハワイ特典航空券に潜む81,900円のコスト
航空券の料金体系は、大きく分けて航空会社が設定する「ベース運賃」、原油価格の変動を反映した「燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)」、そして空港当局等が徴収する「諸税」の3つの要素で構成されています。特典航空券を利用すればベース運賃はマイルで相殺されますが、燃油サーチャージや諸税は手出しの現金として支払う仕組みです。
ここでは、日本航空(JAL)の東京ーホノルル線のエコノミークラスを例に考えてみましょう。通常、東京-ホノルル間は40,000マイルで発券可能です。
これらを合算すると、特典航空券を利用するにもかかわらず、実際には約86,540円もの現金を支払う必要があります。

ヨーロッパ方面も燃油サーチャージが高騰していて、こちらも特典航空券をつかっても手出し現金が必要になっています。ヨーロッパ方面の現状と対策については以下の記事を参考にしてみてください。
マイル単価0.95円への下落… 有償運賃とマイル利用の比較検証
では、せっかく貯めた40,000マイルを使い、さらに約81,900円の手出し現金を支払うという選択は、果たして経済的に有利と言えるのでしょうか。これを評価するためには、現金で航空券を購入した場合(有償運賃)の実勢価格と比較する必要があります。
ここでは、実際の調査データに基づき「通常運賃」と「タイムセール運賃」の2つのパターンに分けて計算してみましょう。
1. 通常運賃で購入する場合
まずは通常期の実勢価格です。2026年5月2日にGoogleフライトを用いて、2026年9月〜10月の閑散期(火〜木曜出発)におけるJALの東京発ホノルル行き直行便の価格を調査しました。その結果、往復エコノミークラスのベース運賃は平均して約100,000円で推移しています。
ここに燃油サーチャージ69,400円と諸税約12,500円が加算されるため、購入総額は約181,900円となります。
この場合、40,000マイルを消費することで節約できる現金は「100,000円」(181,900円 – 81,900円)です。これを1マイルあたりの価値に換算すると、以下のようになります。
100,000円 ÷ 40,000マイル = 2.50円/マイル
2. タイムセールで購入する場合
一方で、JALが定期的に開催するタイムセールでは、燃油サーチャージが含まれた特別な運賃が設定されることがあります。直近の事例として、2026年4月にJAL公式サイトで実施された「国際線タイムセール」(対象搭乗期間:2026年9月〜11月、東京発ホノルル行き往復エコノミークラス)のデータを参照します。
このセールでは、燃油サーチャージ込みの特別運賃が107,500円で販売されていました。ここに別途課される諸税12,500円を加算し、実際の支払総額を「120,000円」とします。
38,100円 ÷ 40,000マイル ≒ 0.95円/マイル
クレジットカードの決済還元によって1%前後でマイルを獲得している場合、マイル単価が1円を割る水準まで下落することは、少しもったいない使い方と言えるかもしれません。タイムセールなどで有償運賃が安くなっている局面において、自社便の特典航空券を発券する行動は、資金効率の観点から不利になる可能性があります。
燃油サーチャージ0円の選択肢。ハワイアン航空の利用でマイル価値を高める戦略
では、マイルの価値を高め、お得にハワイに行くにはどのような方法があるのでしょうか。有力な選択肢の一つが、提携航空会社を利用した発券戦略です。
消費するマイル数は総旅程距離に基づく距離制チャートが適用されるため、東京ーホノルル往復の場合は45,000マイルとやや増加しますが、手出しの現金は税金等の諸費用のみに圧縮されます。

【実録】手出しをわずか7,300円に削減したゼミ長の実際の発券記録
実際に私が2024年12月にハワイアン航空の特典航空券を利用してハワイへ渡航した際も、この強力な規定の恩恵を受けました。以下は、当時の実際の予約データです。
- 対象フライト: 往路 2024年12月18日 羽田発ホノルル行き(HA864便) / 復路 2024年12月22日 ホノルル発羽田行き(HA457便)
- 搭乗クラス: エコノミークラス(大人2名)
- 必要マイル数: 合計90,000マイル(1名あたり45,000マイル)
- 手出し現金(諸税等): 合計14,600円(1名あたり7,300円)
ご覧の通り、高騰する燃油サーチャージの請求は一切なく、1名あたりに実際に支払ったのは空港使用料などの税金「7,300円」のみでした。
この条件(手出し7,300円)で、先ほどのタイムセール運賃(120,000円)と比較してマイル単価を再計算してみます。
(120,000円 – 7,300円) ÷ 45,000マイル ≒ 2.50円/マイル
自社便に限定せず提携社を選択するだけで、タイムセール時であっても1マイルの価値が0.95円から2.50円へと大幅に向上します。通常運賃(181,900円)と比較した場合は、約3.88円/マイルという高い価値を生み出すことになります。
| 比較項目 | JAL便(自社特典) | ハワイアン航空(提携社特典) | JAL有償運賃(セール時・参考) |
|---|---|---|---|
| 必要マイル数 | 40,000マイル | 45,000マイル | 0マイル |
| 燃油サーチャージ | 69,400円 | 0円 | 運賃内包 |
| その他諸税 | 約12,500円 | 7,300円(実録) | 約12,500円 |
| 手出し現金総額 | 81,900円 | 7,300円 | 120,000円 |
| マイル単価(価値) | 0.95円/マイル | 2.50円/マイル | – |
現金とマイルの合理的な使い分け。状況に応じた決済手段のスイッチング
マイルは、原油市況や航空会社の価格設定によって、その相対的な価値が常に変動する性質を持っています。そのため、価値を高く保つための原則はシンプルです。
有償の運賃が安くなっているセール期間中は、マイルを温存して現金で決済する。逆に、燃油サーチャージが高騰している局面では、サーチャージを免除される提携航空会社の特典航空券へマイルを活用する。このように状況に応じて手段を切り替えることが、資金とマイルを有効に活用する合理的な戦略と言えるでしょう。
JALマイル攻略の全体像や、他の最適化手法については是非こちらのロードマップをご覧ください!




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